脳血管障害を3つに大別すると脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分類されます。 脳梗塞とは血管が細くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)してその先にある脳組織に障害が起きるために、片麻痺、言語障害、視野障害などが起きることを言います。脳梗塞は脳血管障害のうち2/3を占め最も多い原因です。 脳梗塞の原因は大きく3つに分けられます。 1.アテローム血栓性脳梗塞 2.脳塞栓 3.ラクナ梗塞 脳梗塞を病態別に正確に分類しなければ正しい治療ができません。以下にその病態別の特徴を述べ、治療方法を概説します。
矢印は浅側頭動脈を示す
くも膜は脳を覆っている膜の一つで、そのくも膜の下に起こる出血がくも膜下出血です。くも膜の下には脳の血管が存在するため、その血管が破綻するとくも膜下出血になります。くも膜下出血の約80%は脳動脈瘤が破裂して起こるものです。脳動脈瘤は人口の約5%に存在するといわれていますが、その破裂率については現在日本で調査が行われており、全動脈瘤の破裂率は1%ぐらいではないかと考えられています。けっして高い破裂率ではありませんが、一度破裂してしまえば半分の人が死にいたるやっかいな病気です。その治療方法にはコイル塞栓術とクリップ手術の2通りの方法があり、我々は動脈瘤の大きさ、形、脳のどの血管に存在するかなどさまざまな条件を考慮し患者さんにとってもっともよいと思われる方法を選択しています。クリップ手術は手術用顕微鏡を用いて脳動脈瘤を剥離、露出して動脈瘤の首の部分(ネック)にクリップをかける手術です(図1)。クリップにはスギタのクリップとヤシャギルのクリップがよく使われています。 くも膜下出血を起こすと、破裂脳動脈瘤の治療が成功してもそのあとに様々な病気を併発する恐れがあります。その一つが脳血管攣縮です。脳血管攣縮とは脳血管が糸のように細くなり血液が流れにくくなる病態です(図2)。場合によっては血管が詰まってしまうこともあります。脳血管攣縮は破裂後5日目から14日目ぐらいまで持続します。脳血管攣縮に対するさまざまな薬も開発されていますが特効薬はなく約20%の人が症候性の脳血管攣縮に陥っているといわれています。我々は脳血管攣縮の症状をできるだけ早期に発見し、治療を行なうようにこころがけています。脳血管攣縮の症状が出現した患者さんには血管内治療の技術を用い、細くなった血管をバルーンで直接拡張したり、マイクロカテーテルを病巣の近くまでもっていき直接細くなった血管に血管拡張剤を流すような治療を行なっています。