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(パーキンソン病・不随意運動症に対する治療) |
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グループメンバー紹介
●松 崎 和 仁(助教、日本脳神経外科学会専門医)
●牟 礼 英 夫(大学院生、日本脳神経外科学会専門医)
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不随意運動とは意図しないでおこる異常運動のことです。1)顔面、頸部、体幹あるいは四肢の一部に限局するもの、半身から全身に及ぶものまで不随意運動が生じる身体の部位、2)動きが規則的なもの、不規則なもの、3)運動の振幅・強さ、4)律動性、画一性、多様性、周期性、5)姿勢、安静、随意運動との関連性、6)睡眠中の不随意運動の有無などの点から様々な種類に分類されます。
運動皮質とその下行路、大脳基底核、視床、黒質、赤核、網様体、小脳はからだのバランスをとったり、運動を円滑にするのに重要な役割をしています。これらの部位の障害で異常な筋収縮がおこるために不随意運動は生じるとされています。
不随意運動症のなかで脳外科手術により症状が改善される疾患があります。代表的なものは、パーキンソン病、ジストニア、本態性振戦などです。当科ではこれらの疾患に対して、薬剤で症状が改善しない場合や薬剤の効果が減弱してきた場合に、脳深部刺激療法(DBS:
deep brain stimulation)を行っています。外科的治療法にはDBSの他に神経核を定位脳手術の際に電気凝固する破壊術もありますが、後述のように治療効果を判定でき、効果がない場合には治療をやめると治療前と同じ状態(電極を留置した神経核についても)になることから現在ではDBSを選択しています。
DBSを行うためにはまず、定位脳手術により目的とする標的神経核
(疾患・病態により決定) に脳深部刺激電極を植え込みます。この手術は両側の神経核に電極を留置するときには全身麻酔で行うこともありますが局所麻酔でも可能です。また、局所麻酔下に電極埋め込み術を行う場合には術中に電極刺激による症状の変化を観察し、標的に電極が挿入されていることを確認します。刺激電極埋め込み術後数日間、試験刺激を行い、効果を確認し有効であれば、次に、全身麻酔下に埋め込み型電池内臓刺激装置を前胸壁皮下に埋める手術を行います。皮膚切開部位を示した図、留置した電極・刺激装置のレントゲン写真を下図のごとくです。最適な刺激条件を決定するには臨床症状を観察しながら刺激条件を適時変更することが必要であり、術後に皮膚の上からプログラマーを刺激装置に当て調節します。刺激装置は2年から5年で手術により交換する必要があります。5%以下に脳内出血や感染等の合併症が起こる危険性があります。
当科では神経内科と協力し、2003年11月から本治療を開始し、2006年12月までに35人の患者様(パーキンソン病18人、ジストニア16人、本態性振戦1人)に施行し、症状の改善を得ています。合併症は、無症候性脳内出血が1人(2.8%)、感染が2人(5.6%)に起こっています。 |
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DBSの対象となる疾患について述べます。
<パーキンソン病>
パーキンソン病は30代から80代まで幅広く発症しますが中年以降の発症が多い疾患です。脳深部にある黒質の神経細胞の変性により起こります。ここの神経細胞はドーパミンという神経伝達物質を産生して大脳基底核に連絡します。神経細胞の変性の結果、神経伝達物質のドーパミンが不足し、手足が震える(振戦)、四肢の筋肉が固くなる(固縮)、動きが緩慢になる(寡動)転びやすくなる(姿勢反射障害)などの症状が出現します。これらの症状は発症後、徐々に進行してきます。治療は、まずはL-ドーパという薬を中心とする薬物療法を行います。治療開始当初は、症状が改善しますが、数年間服用し続けると症状の日内変動や不随意運動が出てくることがあります。このため日常生活に支障をきたしており、75歳未満でL-ドーパが有効であった患者様がDBSの適応になります。
病気の進行自体を止めることはできませんが、術後2―5年以上、症状の改善が持続します。当科では両側視床下核に対するDBSを行い、1ヶ月から2年10ヶ月の経過観察期間で平均51.3%の改善度<パーキンソン病の重症度の評価スケールであるUPDRS(unified
Parkinson disease rating
scale)で評価>を得ています。
<ジストニア>
ジストニアは筋肉の緊張を調節している大脳基底核の働きの異常によっておこると考えられています。筋緊張の異常により不随意運動や姿勢の異常が起こります。
原因のわからないものを本態性ジストニア、脳卒中や脳炎などの後遺症として起こるものを二次性ジストニアと呼びます。本態性ジストニアの中には遺伝性のものあります。また、向精神薬の影響で出現する遅発性ジストニア(tardive
dystonia)があります。
筋緊張異常が眼瞼(眼瞼けいれん)、頸部(痙性斜頸)、上肢(書痙)など局所に起こる局所ジストニアと体幹も含め全身の筋肉に生じる全身性ジストニアがあります。ジストニアは書字などのある決まった動作をしたときに起こる場合から安静時にもみられることがあります。
治療はまず、抗コリン剤などの薬物治療が行われます。局所ジストニアでは罹患筋肉にボツリヌス毒素を微量注射し筋肉を麻痺させる治療が用いられます。これらの治療で充分な効果がない場合は、手術治療を考慮します。症状に応じて選択的末梢神経遮断術や脳深部刺激療法が行われます。当科ではジストニア16例(全身性:
6例, 局所: 5例, 2次性: 2例,
遅発性: 3例)に脳深部刺激療法を行い1ヶ月から3年の経過観察期間で術前と比較し平均57.8%の症状の改善を認めています。
<本態性振戦>
本態性振戦は、明らかな原因がなく上肢、頭頸部、下肢などがふるえてしまう状態です。この振戦は家族内発症がみられることがあり、その場合、家族性あるいは遺伝性振戦とよばれます。
本態性振戦の特徴は姿位振戦、及び動作時振戦です。ある姿勢をとったり、何かをしようとしたときに出現します。
治療はまず、β遮断剤や一部の抗てんかん剤が用いられます。薬物療法が無効な場合に視床の凝固術や脳深部刺激療法が考慮されます。 |
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